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「それで、近く片づきさうなんですか」
房一が道平を送つて行くことになつた。
「お噂はうけたまはつています」
と、小谷が云つた。
房一は患者の前にもどつて来た。
来客の間にほつと寛くつろいだ空気が流れ、直造が袴をさばいて立ち上らうとした時だつた。
「やあ、君か」
「さうか、惜しかつたな」
「さうです」
右手の台所の方ではしきりと物音がしていた。道平より先に朝早くから手つだひに来ている房一の義母と、まだ結婚して間もない盛子とが土間を掃いたり戸棚を拭いたりしているのだつた。
「あれですよ。半之丞の子と言うのは。」
そのとき、女房に命じて、温泉を加熱する装置を施してもいいか、ときかせると、
川沿ひから分れた路は段々になつた切株だらけの乾田に沿つて、次第上りに、両側はゆるやかな山合ひに切れこんでいた。
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